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NAD⁺と脳のはたらき:「頭のキレ」とどう関係するのか?

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NAD⁺(ナド+)は、体の中でエネルギーづくりを手伝っている補酵素の一種で、脳の細胞でもフル稼働している存在です。

最近は「老化」や「エネルギー」「脳のスッキリ感」といったキーワードと一緒に語られることが増えていますが、「飲めば誰でも頭が良くなる」というような魔法の成分ではありません。​

この記事では、あくまで「どういう仕組みで脳を支えていそうか」「どのくらいの期間で変化を見ていくイメージか」を、できるだけ日常感のある言葉でまとめています。

NAD⁺が支えている脳の3つのポイント

難しい話をいったん横に置くと、NAD⁺が脳でやっていることは、大きく3つに分けて考えるとわかりやすいです。

  1. エネルギーのサポート役
    • 脳の細胞は、ずっと電気信号を出したり情報をやりとりしたりしていて、ものすごくエネルギーを使います。
    • NAD⁺は、そのエネルギー(ATP)をつくる代謝の流れに関わっていて、これが低下するとエネルギー代謝や神経細胞の働きに悪影響が出る可能性が指摘されています。
  2. 情報の通り道を整える役
    • 脳の中では「シナプス」という“神経同士のつなぎ目”で情報がやり取りされています。
    • 動物の実験では、NAD⁺の前駆体(NMNなど)を投与すると、学習・記憶に関わるシナプス可塑性や行動テストの成績が改善したという報告があり、記憶機能に関係している可能性が示されています。
  3. 脳の“メンテナンス係”
    • 脳の細胞も、ストレスや加齢でダメージを受けたり、炎症が起きたりします。
    • NAD⁺は、DNAの修復や炎症のコントロールに関わる酵素の働きにも必要で、長い目で見たときの「脳の元気さ」を支える一員と考えられています。

つまり、NAD⁺は「一瞬で頭を良くするスイッチ」というより、 脳のエネルギー・配線・メンテナンスを地味に支える“裏方スタッフ”のようなイメージです。

どのくらいで変化を感じるもの?

ここが一番気になるところだと思いますが、現時点のデータやクリニックの運用イメージをまとめると、ざっくりこんな時間感覚になります。

① 数日〜数週間:まずは「なんとなく調子がいいかな?」

  • NAD⁺やその前駆体を使った点滴では、「その日〜数日くらい頭がスッキリした」「疲れにくく感じた」といった声が紹介されることがあります。
  • 一方で、客観的なテスト(IQテスト、詳細な認知検査など)で、すぐにハッキリした差が出るところまでは、まだはっきり証明されていません。

なので、この段階で期待するなら 「なんとなく頭の重さが軽くなったかも?」くらいの主観的な変化が出たらラッキー、くらいのスタンスが現実的です。

② 10〜12週間:1クールで様子を見る

  • ニコチンアミドリボシド(NAD⁺の前駆体)を10週間飲んでもらった試験では、血中NAD⁺が増え、一部の“頭の切り替えテスト”で改善が見られたという報告があります。
  • ただし、プラセボ(偽薬)と比べたときの差はそこまで大きくなく、「効き方には個人差がありそう」というのが正直なところです。

現実的には、

  • 「まずは10〜12週間を1クール」
  • その間に、
    • 朝のスッキリ感
    • 作業に集中できる時間
    • 仕事のミスの減り方
    • 夕方のぐったり感

など、自分なりの“指標”を決めて、変化を観察していくのがおすすめです。

③ 3〜6か月:長めに見ていくフェーズ

  • 日本のクリニックで行われているNMN/NAD⁺点滴では、「2〜3週間に1回を3〜6か月続ける」という案内がよく使われています。
  • 経口サプリでも、「数か月単位で続けることで、体力・日中のパフォーマンス・物忘れなどの変化を見ていく」といった説明が多いです。

このあたりになってくると、

  • 「集中力が以前より安定している気がする」
  • 「仕事終わりの消耗感がマシになった」

など、日常の“ベースライン”が少しずつ変わってきているかどうかを見るイメージに近いです。

NAD⁺だけに頼らないほうがうまくいく理由

NAD⁺はたしかに大事な分子ですが、「これさえあれば全部解決」という性質のものではありません。 むしろ、次のような土台と組み合わせることで、生きてきます。

  • 睡眠
    • 深く眠れているかどうかは、次の日の頭のキレに直結します。
  • 運動
    • 軽い有酸素運動や筋トレは、脳の血流やミトコンドリアの働きにもプラスと言われています。
  • 食事
    • ビタミンB群など、NAD⁺まわりの代謝にも関わる栄養が取れているかどうかもベースになります。

NAD⁺系サプリや点滴は、

  • 「生活習慣を見直したうえでの、プラスα」
  • 「数週間〜数か月単位で、自分の変化を“記録しながら”様子を見る」

くらいのスタンスで向き合うと、期待と現実のギャップが少なくて済みます。

まとめ:こんな感覚で付き合うとちょうどいい

  • NAD⁺は「頭を良くする薬」ではなく、脳のエネルギーやメンテナンスを支える裏方のような存在。
  • 変化を期待するなら、まずは10〜12週間を目安に、生活習慣とセットで取り組むイメージが現実的。
  • 3〜6か月くらい続けながら、「費用」「体感」「続けやすさ」を天秤にかけて、自分に合うかどうかを見極めていくのがちょうどいい。

「頭の回転を上げたい」と思うと、つい“即効性”を求めたくなりますが、NAD⁺まわりの話は、どちらかというと“脳のコンディションづくり”に近いテーマです。

短距離走というより、数か月単位での体調づくりとして眺めてみると、現実と合った期待値で付き合いやすくなるはずです。

ここまで読んで、“生活習慣+αとしてNMNとNAD⁺も気になる”という方へ。

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この記事の著者

象縁堂Webマガジン編集長 いっちゃん

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